ACRO
138, rue de l’Eglise
14200 Hérouville St Clair
France
https://acro.eu.org
私たちが取り囲まれているすべての物質、水、大気、土、我々も小さな粒でできてい る。我々が「原子」と呼んでいる小さな粒である。全部で92種類あり、レゴのブロックのように、遠い星と我々の体自体も含む宇宙全体はなにもかも、この 92種類の原子から“作られている”。その他に人間の手によって作られた原子がある。
それぞれの原子には名前がある。もっとも小さい1番の原子は「水素」と呼ばれ、92番の最も重い原子は「ウラン」と呼ばれる。この2つの間には恐らくあ なたも知っている名前があるでしょう。例えば酸素、金、鉄など。一つの酸素原子にくっついた二つの水素原子は水という小さな塊を形成する。
本題に入る。いくつかの原子は「放射能」だと言われている。大砲のように、鉄砲のように、そのような原子は原子自身よりももっと小さい弾丸を発射するこ とができる。その小さな弾丸こそ危険である。というのも、人体を通り抜けることができるからだ。我々がレントゲンを撮ろうとするときのように。
原子炉の中には非常に多くの弾丸を放つ原子がある。というわけで、それらは我々が格納容器と呼んでいる金庫のような箱の中に閉じ込められている。福島原 発での問題は、それらの放射能が水中や大気中に逃げたことである。ある原子は発電所の近くの地面に落ち、もう一方は風によって地球全体のあちこちに運ばれ ている。
放射能は、ただ小さな弾丸を発射しているだけで、特定のものを狙っているわけではない。もしそれが我々の近くにあるならば、弾丸は遠くに離れる可能性が ある。しかし放能によって汚染された野菜を食べ、水を飲み、空気を吸っただけでも我々の体内で発射された弾丸は深刻な被害をもたらすのである。
もちろん、壊れた発電所の近くに落ちる原子の方が遠いところに飛んでいく原子よりもはるかにたくさんある。というのは、福島発電所全体とその周辺の汚染度は極めて高い。そこから放射能はあちこちに弾丸を発射している。
現場の労働者は、自分の身を守るために、体全体を防除服に包み、放射能の埃を吸わないように、顔にはマスクを着けている。しかし彼らは放射能の爆撃に対して何もできず、長い間その場にとどまることもできない。
遠く行くほど、原子は少なくなり、爆撃の危険性が減る。本当の問題は食飲摂取によるものである。
ほとんどの原子は一回にたった1つか2つの弾丸しか発射できない。そしてそれらはもはや放射能を含んでいない。いくつかは速く発射され、そして汚染は長 く続かない。弾丸がなくなったからである。現在、福島で排出された「ヨウ素131」と呼ばれる原子はその一例である。要素131の場合は、8日後、放射能 は半減する。また16日後には4分の1以下となる。このように徐々に減っていく。「セシウム137」と呼ばれる原子は30年間かけてその放射性物質を減ら す。従って長くとどまることとなる。そのため、長年の間身を守るために、汚染を監視するシステムが必要になるだろう。
ベクレルというのは、放射性原子の数を数える単位である。もし1000ベクレルあると言われたら、それは1秒間に1000もの弾丸が発射されていることを意味している。
子供たちのための放射能測定の説明
『放射能は極めて小さなたちの悪い原子によるものである。その原子は、小さな弾丸を発射することができる。』ということを私たちは前回の『子供たちのための放射能の説明』から学んできた。これらの弾丸は2通りの方法で人間を傷つける。
もし、あちらこちらに弾丸を発射する悪い原子がたくさんいるところに人がいれば、身を守るたった1つの方法は遠くへ逃げることだ。だから福島とチェルノブイリの発電所近くに住んでいた人たちは遠くへ移動しなければならなかった。
人間は放射能がすぐ側にあっても何も感じない上に、何も見えない、そして何も聞こえない。放射能から身を守るために特殊な機器で測定しなければならない。
この強い放射能の測定は小さな機器を使って行われる。原子が発射する弾丸がその機器に当たることで弾丸の数を測定するのである。弾丸が多くなればなるほど危険度は高くなる。
そうすると、その危険度が低いのか、高いのか、それともそれほどでもないのかはどのようにわかることができるのだろうか。
その危険度の判断は弾丸の種類がたくさんあるため、とても難しい。なぜならある弾丸は他の弾丸よりも悪かったりするからだ。また、全ての弾丸が同じ強さで当たるわけではない。他の弾丸よりもエネルギーを持っているためにさらに危険な弾丸もある。
弾丸によるけがの具合を推定するために、私たちは『シーベルト』という単位を使う。いくらかのシーベルトを浴びた人は何ヶ月後かに死ぬ恐れがある。一般的 には、ミリメートルのようにもう1つ小さい単位の『ミリシーベルト』を使って測定する。人は1年間に1ミリシーベルト以上の弾丸を浴びてはならない。なぜ なら、弾丸は時間が経ってから発症するガンやその他の病気を引き起こす可能性があるからだ。
これら全ての弾丸を監視するためにミリシーベルトを測定できる小さな機器がある。
放射性の原子があなたの近くにあるとき、その原子はどこも狙わずあちらこちらに弾丸を発射し、その中の極一部分があなたの体に当たる。あなたがいるところ に放射能がたくさんなければ、それほど危険な状態にはならない。しかし、放射能を放つ原子が少しでもあなたの体の中にあれば弾丸はあなたを傷つけ、とても 危険な状態になる。だから体の中にほんのちょっとでも弾丸があれば危険ということでる。
それを考えると私たちは自分たちが食べている物や、吸っている空気、飲んでいる水にも注意しなければならない。そのために食べ物や水、空気の中の放射能の量を常に検査しなければならない。
自然の中にはすでに放射能があるため、そこで食べ物などの中の放射能を検査するのはとても難しい。自然の中にある放射能に対して人間は何もできないし、放射能はあちらこちらに散らばっているのでその測定はややこしくなる。
例えば、ボール1杯のブルーベリーの中に放射性の原子による弾丸がどのくらいあるのか数えてみるとする。すると、ブルーベリーの中から出てくる弾丸もあれ ばボールやテーブルから出る弾丸もある。もしブルーベリーの中に放射能が少ししかなければ近くにいても危険ではないけれど、私たちはそのブルーベリーを食 べることができないかもしれない。それでは、そのブルーベリーを食べられるかどうかを知るためにはどうすればよいのか?
ACROという私たちフランス市民の研究所と他の研究所では2つのコツを使っている。まず、ボール1杯のブルーベリーを鉛の金庫の中に入れておく。その金 庫は遠くからきた自然の弾丸を止めることができる。ACROが使っている機械はかなりいい機械である。その機械は弾丸のエネルギーを測ることができるし、 弾丸が自然からのものなのか、ブルーベリーの中にあるものなのかを識別することもできる。そうすると、ブルーベリーの中に放射能汚染による原子がどのくら いあるか正確に知らせることができると同時に、そのブルーベリーを食べても大丈夫かそうでないかも判断することができる。1回測定するのに何時間もかか る。
その結果をベクレルで表す。ベクレルの数は食べ物や水、空気の中に放射性の原子がどのくらいあるのかを表す。例えば、日本政府は1キロの食べ物の中にセシウム137が500 ベクレル以上あってはならないと決めた。
もし、汚染された食べ物を食べたら、そのけがの深刻さを直接測ることができない。なので、私たちはその汚染された食べ物にどのくらいミリシーベルトがあるのか知るために様々な計算をする。
これら全てのミリシーベルトは体の中に蓄積されるので注意しなければならない。